理事長 金 修よりご挨拶を申し上げます

本格的な「AIと共創の時代」到来か?!
はじめに
年初のメッセージで、丙午の年はこれまで蓄えてきた力が一気に発揮される年だと述べました。年明け早々に衆議院解散・選挙が行われ、各政党が日本のアイデンティティや人材育成の重要性を改めて強調しています。これは、日本の現状に対する危機感の表れとも受け取れます。
AIとの共創時代の到来
現在、あらゆる分野でAIが本格的に実装される時代となっています。しかし、AIプラットフォームについては他国に遅れを取っている状況です。一方で、日本では生産年齢人口の減少が進むため、AIやロボットの導入が加速することが予想されます。これにより、ロボットを代表とするフィジカルAI分野で日本の強みが発揮されると考えられています。
例えば、トヨタ生産方式のKAIZEN(改善)では「自動化」と「自働化」が使い分けられます。自動化は無人化システムを目指し、自働化は機械やコンピュータと人との共同作業システムを目指します。人間中心の考え方がKAIZENの原点であり、AIの実装においても、自働化のようなAIと人との共創を前提とした配慮が重要です。
日本企業の人材マネジメントの課題と強み
KAIZEN(改善)はグローバルに認知され、製造業の現場改善は「見える化」から始まります。工程や品質に関するトラブル要因の見える化(定量化・言語化)は、最終品質や安全の継承に不可欠です。しかし、多くの企業では、人材マネジメントの緻密さは、製造現場ほど発揮されていないのではないでしょうか。
「阿吽の呼吸」「できるはずだ」「任せた」「暗黙の了解」といった善意や信頼をベースとした日本式である一方で、曖昧な責任範囲やコミュニケーションが組織運営の根底にあり、人材の状態や転換期が見えにくくなるリスクがあります。貴重な人材の体調不良や突然の退職願い、事故や不祥事が発生して初めて問題が顕在化するなど、この構造からの脱却が求められます。
欧米型の成果主義やスキル主義をそのまま導入しても、必ずしも解決には至りません。合理的ではあるものの、短期的な視点に偏りやすく、日本の長期雇用や現場知の蓄積を重視する、メンバーシップ型を主として来た組織文化と相性が良いとは言えません。2000年代初期にはこの課題が既に認識されており、今こそ善意や信頼の文化を強みとしつつ、JOB型マネジメントも取り込んだ新たな日本らしい人的資本の考え方を活かす時代です。
業務(タスク)と知識(スキル)の再定義と見える化
人中心の経営システムである人的資本経営を精神論で終わらせず、具体的なマネジメントの仕組みとして実装することが重要です。人材の知識や経験、業務と役割、負荷、成長段階、転換期などを見える化し、配置・育成・評価・支援を循環型で設計することが求められます。これは製造業の工程管理や品質管理と本質的に同じです。
善意や信頼を強みとしたチームワーク作業において、時々「自助」と「共助」のバランスが崩れた場合、信頼と見える化は矛盾しません。人材の見える化は真の評価と信頼、持続的な成長を可能にし、人的資本経営の原点であると考えます。
協会の取り組み
欧米の背中を追いかけた高度成長期、約30年間のデフレ経済を脱却しつつある今、世界の枠組みが不安定だからこそ、日本の強みである善意や信頼に根ざした人的資本経営の仕組みを、次世代が実践できるよう構築し、残す必要があります。
人材への施策は、製造現場改善のような短期間で効果を確認できませんが、長期的な視野での人材に関する具体的施策は、企業の持続的発展にとって最も重要なテーマです。
協会は引き続き「日本型の人的資本経営」に向けて、人材の見える化や仕組みづくりのため、情報提供や関連ツールの開発・提供を積極的に進めてまいります。
多くの皆様の活動参加をお待ちしております。
2026年2月吉日
一般社団法人 iCD協会
理事長 金 修
