理事長 金 修よりご挨拶を申し上げます

「人的資本経営」と「JOB型マネジメント」

コロナの第7波も落ち着きつつありますが、アメリカを初めとした諸外国はインフレに悩んでいる中、日本はデフレ脱却の金融政策の違いから、大幅な円安など、少し趣が異なる事が明らかになりました。
その結果、インバウンドの人々からは、なんと日本は物価が安いのか!、ニューヨークではラーメン一杯が2,800円とか、そして都心の億ションが外国の人々に爆買いされているとの事です。

IMD(International Institute for Management Development)の世界競争力ランキングでも、その順位は年々低下をしております。為替レートの適正値は一言でいう事は出来ませんが、今回の円安は、現在の日本の総合力とも言えるものを示している事は否めません。

10年前の円高の時には、輸出主体の企業、特に日本の製造業は大変苦しみ、一層のコストダウンや業務の効率化などに注力し、この苦境を乗り越えてきました。しかし、今回の円安対応はこのような対応策ではなく、180度異なった新たな対応が求められています。この状況を変えるために、政府を初めとして経済界からも、「人」に関する話題が多くなってきていると感じています。

効率化やコストダウンが習い性の如く染みついて、かつ成功体験を有している日本にとって、この変化への対応は簡単ではありません。経営資源として人・モノ・金と言われてきていますが、ここに来て「人的資本経営」などと言われるよう「人」に焦点があたってきているのは、新しい対応策を創るキーポイントが「人」であるとの背景ではないでしょうか。

今年5月に経済産業省から「人材版伊藤レポート2.0」(※参照)が公開されました。この報告書の中で『人材は管理の対象ではなく、その価値が伸び縮みする「資本」である』と述べており、人を資源(Resource)から資本(Capital)とした事に、目から鱗です。人は3大経営資源の中で、モノ・金とは異なった存在で扱う必要が求められながら、これまで少しないがしろにしてきた反省なのかも知れません。伊藤先生はコーポレートガバナンスの視点から様々な提案・提言をしてきていますが、今回は企業価値の判断指標として「人」に注目した指標が重要で、企業の持続的な発展を評価する投資家にとっても、重要な指標との提言です。

さて、当協会では「JOB型マネジメント」を提唱し、JMBOXなどを初めとしてその普及を推進しています。JOB型マネジメントは、日本がこれまで得意としてきたメンバーシップ型マネジメントの対極として、従来の目標管理などと同じと考えられてしまいますが、大きく異なります。

協会で提唱している「JOB型マネジメント」の定義は非常に広角で、人を大事にしてきた日本型マネジメントの良さを生かしつつ、「経営の視点」「人事の視点」そして「個人の視点」で「JOB」をとらえ、この3つの視点からの人財戦略を提唱しています。この事は伊藤レポートにある、「中長期的な経営戦略と現有人材のギャップの可視化」などに、iCDは非常に有効な手段となり得るはずです。

これからも新たな経営環境の変化は起こり続け、この事に柔軟に対応して行くためには「人財力」とも言える力が求められます。この力の最大化が、企業価値を上げ持続的発展を担保するはずです。

iCDを基盤とした仕組みを作り、「人財力」の向上を計り、その効果を皆さんと共有し、再び「Japan As No1」と言われる日本を目指していきたいと思います。

2022.10
一般社団法人 iCD協会
理事長 金 修